<3> 広すぎる相談内容にどう対応するのか

外国人相談と他の相談窓口との違い

外国人相談の窓口が他の相談窓口と大きく異なるのが、「言語を軸にした対応」とうことです。

例えば、「日本語のほか、3言語(英語、中国語、スペイン語)に対応しています」という具合です。

こうした外国人相談窓口は大きく分けて、2種類があります。

一つは、労働や法律といった専門機関が外国語に対応をしているところです。そこでは、専門的な対応が必要な相談について、外国語で対応がされています。

もう一つは、自治体や国際交流協会などで設けている外国人相談の窓口です。ここでは、テーマを絞らず、言語というくくりだけで、相談を受け付けています。

つまり、日本に住む外国人からありとあらゆる相談が持ち込まれることになります。

今回は、こうしたありとあらゆる相談に対応する外国人相談によくある、複合的な問題を抱える相談者について書いていきます。

相談員が一人で相談を終わらせない

相談者にとったら、言語だけのくくりで相談対応をしてくれる何でも相談ができる場所というのは、ありがたい存在だと思います。

一方、相談を受ける方としたら、それはそれは大変です。担当する外国語と日本語の能力に加えて、日本にあるありとあらゆる制度や情報について、案内することを求められるからです。

しかも、新しい制度ができたり、運用が変わったり、今だと、コロナ対応は日々変化しています。

そうした相談に対して、どうやって対応したらよいのか、悩む現場の方も多いと思います。私が仕事をしてきたいくつかの外国人相談の現場では、複雑な相談に対しては、相談員やコーディネーターと問題の共有をすることをしていました。

メンバーの中には、労働相談窓口の経験がある者や、以前そうした問題に対応したことのある人がいることがあります。一人の知識や経験で考えるより、多くの情報が得られます。また、そうした共有は、今後、類似した相談を受けた際、他のメンバーの経験にもなります。

もし、すぐに答えられない内容であれば、調べて折り返す方法があります。今まで、調べて折り返します、と言って断る相談者はほとんどいませんでした。むしろ、きちんと調べて折り返し電話までしてくれることに、喜んでくれたケースがほとんどです。

メンバーがおらず、一人だけで外国人相談を担当している場合には、他の人と共有ができません。そうした場合でも、調べて折り返し電話はできますね。

ネットワークを作る

地方の相談窓口では、相談件数自体が少なく、経験を多く積むことができないと聞きます。そうした場合でも、1件について相談対応をきちんとしたことで、外国人のネットワークの中で広がることがあります。

相談経験に近道はありません。とにかく、受けた相談にできる限り対応することに尽きます。

一つの相談に対して、どの程度のエネルギーを注げるかは、その組織の方針や忙しさにもよりと思いますが、調べた結果、他の専門機関につなぐ必要がある場合は、コーディネーターや相談員がまずは、その専門機関に電話をしてほしいと思います。

私がいたワンストップ型の相談センターでは、専門機関から、外国人からの相談と言うだけで外国人相談で対応してほしい、と電話がかかってくることがたまにありました。

ですが、外国人が相談したいのは、本来は専門機関でしか対応できないとであって、そこでしか解決できないものです。外国人だからと言って、行政手続きや行政対応をせずに外国人相談窓口に丸投げされることはしばしばありました。

そうしたたらい回しにならためにも、あえて、外国人相談の窓口から、専門機関に電話をして外国人のケースに対して説明し、相談をすることは、大事なことだと思います。双方が、どのようなスタンスで仕事をしているのか分かりますし、今後の相談対応にもつながります。

多言語対応をしていない専門機関にとったら、ある程度外国語で相談員が聞き取ったものを専門機関に紹介をする形で橋渡しをしてくれることは、助かることでもあると思います。

そうして、一つ一つの相談ケースを元に構築されたネットワークは、いざというときに役に立ちます。

コーディネーターの必要性

これを読まれている方の相談の現場にはコーディネーター的な存在の人がいるでしょうか?私が今までいくつかの総合的な外国人相談で対応してきた経験からすると、現場全体を把握する調整役、いわゆるコーディネーターの存在は重要だと感じています。

理由は、相談を外国人から最初に受ける相談員の対応について、他の相談員とも共有することを促したり、相談の中で分からないことがあったときに答えたり調べたりするなど、相談員が一人で抱えないようにするためでもあります。一人で終了すると、その経験が一人だけのものになり、組織として経験が蓄積されず、場当たり的な対応になってしまいます。それでは、もったいないですね。

また、コーディネーターの役割をする人は、外部機関とのネットワーク作りにも積極的になってほしいと思います。そうすることで、それぞれの役割分担が明確になり、外国人を中心としてスムーズな相談につながることが期待されます。