どこで実施されているのか?

一般的に、外国人相談は、都道府県や自治体の国際交流協会や、窓口に置かれています。

公的機関の中でも、出入国在留管理庁(入管)や技能実習機構といった専門機関でも、多言語による対応窓口が設置されています。

また、法テラスや弁護士会などでも、法的な問題に対応するため、外国人向けに実施しています。

さらに、市民活動の団体や外国人支援団体で、その団体が行う活動の強みを活かして、外国人相談窓口を設けているところもあります。

外国人相談センターの特徴

外国人向けの相談窓口の特徴が2つあります。一つは、言語を軸に置いて対応している、ということです。

二つ目は、言語を入り口として、日本のあらゆる制度や生活上の悩み事も聞く窓口になっていることです。そのため、外国人相談では、各センターが掲げる相談への対応と、その他の幅広い情報提供が求められます。

様々な外国人相談

一言に、「外国人相談」と言っても、その役割は様々です。

以下、私がコーディネーターとして携わった経験から、それぞれのセンターについてお話しします。

入管が委託する「外国人総合相談支援センター」では、8言語で対応し、在留資格(いわゆるビザ)の相談がほとんどで規則や運用について案内することが主な役割です。全国から外国人本人やご家族、企業の方からの相談に対応しています。

外国人技能実習機構の母国語相談センターでは、技能実習生向けの相談窓口で、9言語で対応して、技能実習法違反の相談窓口となっています。労働条件に関する問題や、実習生ならではの異なる職種での実習、労災隠しが疑われるものや旅券を取り上げられるなど、人道的にも問題があるケースから、寮での実習生同士の生活のトラブルの相談もあります。

東京都が2020年度に実施した東京都新型コロナ外国人生活相談センター(TOCOS)では、都内在住の外国人を対象に、やさしい日本語を含む14言語で対応しました。コロナに感染したのではないかという不安や、自分は濃厚接触者ではないのか、熱があるのでPCR検査をしたい、など健康不安の相談から、経済的に困窮しているので支援策を知りたい、といった制度に関する相談も多くありました。

また、都内の保健所が感染者や濃厚接触者に対して、電話をするときの通訳も担っていました。感染者であれば、入院の準備のことや自宅療養、健康観察といった場面で通訳が必要になるときは、TOCOSが三者通話での通訳を提供しました。濃厚接触者の場合は、PCR検査をする病院を説明したり、健康不安に関して保健所との間に入って通訳も行いました。

対応言語について

外国人相談で対応している言語は、地域やその対象者の特性に合わせて、多言語で用意されていることが多いです。

例えば、東海地方の国際交流協会なら、日系人が多いためポルトガル語やスペイン語の対応はかなりの確率であるのではないでしょうか。

技能実習機構の母国語相談センターでは、技能実習生の数が多い、ベトナム語や中国語をメインとして、他の少数言語も対応しています。

相談できること

国際交流協会などの公的機関の外国人相談センターでは、一般的に、生活のことや制度のことなどの相談が持ち込まれる場合が多いようです。

様々な相談の中で、専門機関での相談が要な場合には、適切な期間を案内してくれます。

相談センターによっては、地元の弁護士会と連携して、相談予約ができたり、外部の公的機関に相談する際の通訳提供をしているところもあります。

一方、法テラスや弁護士会での外国人向けの相談では、法律問題を相談できます。

各支援団体には特色があり、労働問題やDV被害など、その問題に特化した相談対応をしています。

相談員の役割

外国人相談の対応現場での相談員の役割と言えば、まずは、外国語と日本語で対応ができるということです。日本の制度について、調べたり、コーディネーターに相談することで詳しい情報提供ができます。

英語は様々な英語圏の国やそれ以外の国の人から相談がありますが、特定の国でしか使われない言語の外国語だと、相談員さんは国民性や文化、習慣、制度に精通しています。そのため、相談者がなぜ、そのような相談をしているのか、背景を考えることができます。そうしたバックグラウンドを踏まえてコーディネーターに説明をすることで、道筋が立てやすくなるときがあり、助かります。

相談センターだけでは対応できず、外部の専門機関につなぐこともある場合は、相談センターにもよりますが、相談員は通訳を担うこともあります。

コーディネーターの役割

それぞれの機関や相談センターで、コーディネーターに求められる役割は異なるかもしれません。

私が今まで務めてきた相談センターでは、各言語の相談員さんが、外国人やそのご家族、会社の方などに直接、相談対応をしています。コーディネーターは、相談者に対応する相談員さんから、相談を受けたり、相談がスムーズにいくように助言したりする役割があります。

また、外国人相談に必要な入管の最新情報に常にアンテナを張り、相談員と共有したり、他機関に問い合わせたり、つないだいで連携しています。

コーディネーターと相談現場の面白さ

コーディネーターの面白さとして、どのように相談員から相談者に伝えてもらうか、相談員がどのように相談に乗ればよいのか、というステップを相談員とともに作る事にあると思います。

今やインターネットで検索をすれば、多くの情報が得ることはできます。相談員は基本、皆、日本語が可能なので、日本語で発信されている情報を得ることができます。ですが、その情報をどういう形で相談者に伝えればよいのか、というアウトプットは、情報を単に得るのとはまた別の課題です。

料理に例えると、仕入れてきた食材は、相談現場での情報です。その情報をどのような手順で調理して、どの調味料を加えるのか、この方法を相談員と一緒に考えながら、コーディネーターが組み立てることで、良い相談ができます。一緒に考え、調理をすることで、相談員が一人だけで抱えることがなくなります。

相談員が相談者に伝えやすくするためには、どのような材料が必要なのか、相談者が本当に何を困っているのかを引き出すには、相談員が相談者に何を聞けばよいのか、そうしたコツを伝授しながら、良い相談を作り上げていく。直接は相談に当たらないコーディネーターは、相談員が対応するためのステップを組み立て、少し引いた視点で黒子として、相談現場を支えることでその力が発揮されます。

すべての相談が、ハッピーエンドとは限りません。ですが、相談者本人が納得し、良い相談であれば、また別のことで困ったときに、リピーターとなり、相談者自身が前に進む道を作る手助けができるでしょう。

もう一つ、相談現場の面白さとして、一緒に仕事をしている相談員さんたちに、外国出身者が多くいることがあります。そうした現場では、日本に居ながらにして、様々な異文化に触れることができます。相談員さんからは、その国の人の国民性、独自の文化や考え方、そこに至った教育や国の制度を教えてもらっています。

なによりも、日本という海外で長年暮らしてきた外国出身の相談員さんの努力にも驚かされますし、日本出身の相談員さんの外国語の流暢さにも感心しっぱなしです。